同性婚パートナーに「定住者」の資格が認められる可能性

  • 2019.09.05 Thursday
  • 11:31

以前、同性婚のパートナーに認められる在留資格として、「特定活動」の可能性があることを掲載しました。

参考:「同性婚、パートナーのビザは何?!」

 

しかし、前回も言ったように、「特定活動」の在留資格が付与されるためには、

原則として、本国において、同性婚として成立している必要があります。

つまり、外国人同士の同性カップルが主な対象となっており、

日本人との同性婚の外国人パートナーは、いわば”対象外”の扱いを受けてきました。

 

ところが、2019年3月には、

25年間日本人のパートナーと連れ添ってきた台湾籍のゲイの方に、在留特別許可が下り、

「定住者」の在留資格が認められました。

そして、先日、26年間にわたり不法滞在中で、15年以上日本人のパートナーと婚姻関係同然の生活を送ってきたトランスジェンダーの外国人女性(法律上は男性)にも、在留特別許可が下り、

同じく「定住者」の在留資格が認められました。

 

日本では、現在同性婚を認めておらず、婚姻関係の成立は男女の間にのみ成立することとなっており、

日本人との婚姻関係を前提とする在留資格である「日本人の配偶者等」は、上記のようなパートナーの外国人には認められません。

 

しかし、今年に入って上記のように、2件の「定住者」の在留資格が認められました。

「定住者」の在留資格は、定められている「告示」とは別に、「告示外」のものもありますが、

「告示外」については定められた要件は特にありません。

故に、審査の過程において、申請人の日本での”定住性”が重視され、それは自ら立証する必要があります。

今回は、おそらく外国人パートナーの定住性の審査の一環として、

このカップルの関係の安定さや真剣さ等が審査の判断基準に加わったものと予想されます。

 

昨今、LGBTQの方の保障が注目され、条例でパートナーシップ制度を導入する自治体も増えてきました。

ニュースでも取り上げられ、社会の認知度も高くなってきたように思います。

また、G7の中で、同性婚や同棲パートナーシップを認めていないのは日本だけのようです。

だからと言って、何でもかんでも外国に倣え!というのは

各国の文化背景や世論、制度もあるため、甚だおかしな話ですが、

少なくとも、今回の出入国在留管理局の判断は、

多くの同性カップルに一筋の光となったことは間違いないと思います。

 

 

2018年の在留資格取消件数が公表されました

  • 2019.08.30 Friday
  • 16:24

 

先日、法務省は、在留資格取消件数について最新のプレスリリースを公表しました。

→参考:http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00057.html

 

これによると、2018年に在留資格の取消しを行った件数は832件で、

前年の385件に比べて2倍以上の数になっています。

 

その内訳をみると、「留学」が412件と最も多くなっていますが、

「日本人の配偶者等」は80件で、全体の9.6%を占めています。

 

また、取消し事由ですが、

最も多いのが、”3ヶ月以上該当する活動をおこなっていない(取消事由5号)”

というものです。

 

 

公表の内容によると、

2018年の取消し件数のうち、取消事由2号(偽りその他不正の手段による在留資格取得)に該当するものが、全体で100件、

在留資格別にみると、「日本人の配偶者等」が47件と、最も多くなっています。

 

ここ数年、在留資格の審査は全体的に厳格化していますが、

「日本人の配偶者等」についても例外ではなく、

特に在留資格認定証明書交付申請については、審査期間も長期化している傾向にあります。

 

前回までは大丈夫だった、友達は大丈夫だった、というのはもちろんあてになりませんが、

自分はきちんとした結婚だから大丈夫、というのも、

立証責任は申請人側にあるため、きちんと立証できる書類を揃えて申請しない限り、何の意味もない根拠になります。

 

 

とにかく、現在の審査状況を踏まえて、万全を期して申請するのが求められています。

 

 

 

 

 

 

“養子”はビザが取れる?

  • 2019.07.17 Wednesday
  • 16:13

「養子縁組したら、ビザとれますか?」

という問合せをいただくことがあります。

 

まず先に、養子縁組について理解しておく必要があります。

日本の養子制度には、「普通養子」と「特別養子」の2種類があります。

 

普通養子

養子縁組後であっても、戸籍上、実親との親子関係は継続するため、実親と養親との2つの親子関係を持つことになります。

特別養子

養子縁組が成立すると、原則として子と実親との親子関係が消滅し、養子は戸籍上、養親の子(実子と同等)として扱われます。

特別養子縁組ができるのは、原則として子の年齢が6歳までと限定されています。

 

ちなみに、

親が誰かと結婚(再婚)したら、“子”と“親の結婚(再婚)相手”との関係は、自動的に(法的な意味での)親子関係が成立する、と思ってらっしゃる方がいますが、

親が結婚(再婚)しても、その“子”とその“親の結婚(再婚)相手”との間には、

法的な親子関係は自動的には成立しません!(つまり、アカの他人みたいなものです。)

もし、法的な親子関係を成立させたい場合には、“子”と“親の結婚(再婚)相手”との間で養子縁組をする必要があります。

(※あくまでも、日本の法律に照らしています)

 

 

さて、次は、養子縁組さえすれば、なんらかの在留資格が取得できるのか、という点です。

 

 

●扶養者が就労ビザの場合

例えば、母の結婚相手(父、扶養者)が就労ビザの場合、

母→「家族滞在」ビザ

母の実子(子)→「家族滞在」ビザ となります。

 

ただし、“子”が「家族滞在」ビザの対象となるためには、

“母の結婚相手”と“子”の間に、養子縁組が成立している必要があります。

 

※逆に、母自身が扶養者となる場合は、自分の実子なので、結婚相手との養子縁組の有無に関係なく、「家族滞在」ビザの対象となります。

 

また、結婚相手と子の間に養子縁組が成立していない場合、「家族滞在ビザ」には該当しませんが、

事情がある場合は、人道的な見地から、子に「特定活動」の在留資格が付与されることもあります。

しかし、あくまでも例外的な措置なので、必ずしも許可されるわけではありません。

申請の際は、疎明資料や事情の説明等、慎重に行う必要があります。

 

 

●扶養者が日本人の場合

これは、状況によって、やや異なります。

もし、日本人との間に「特別養子」縁組が成立している“子”であれば、

実子と同等の扱いを受けるため、「日本人の配偶者等」ビザになります。

 

ただし、外国人配偶者の実子である“連れ子”の場合、

通常、日本人とその子の間で行う養子縁組は「普通養子」となるため、

「日本人の配偶者等」ビザは該当せず、「定住者」ビザに該当する可能性があります

 

なお、“子”が永住者特別永住者定住者日本人の配偶者永住者の配偶者の扶養を受ける場合も、同様に「定住者」ビザに該当する可能性があります。

 

これは、以下の告示で「定住者」に該当すると定められているためです。

 

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(法務省告示第132号/平成2年5月24日、法務省告示第357号/平成2772日改正)

6号イ 

日本人、永住者の在留資格をもって在留する者又は(中略)特別永住者の扶養を受けて生活する

これらの者の未成年で未婚の実子

 

6号ロ 

一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(中略)の扶養を受けて生活する

当該者の未成年で未婚の実子

 

6号ニ 

日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活する

これらの者の未成年で未婚の実子

 

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ちなみに、上記にあるように、“未成年で未婚の実子”とあるため、成人や既婚の場合は該当しません。

また、夫婦どちらの実子でもない場合も、該当しません。

しかし、永住者の配偶者の連れ子や、定住者の配偶者の連れ子の場合は、

上記の告示にあるように、未成年で未婚であれば「定住者ビザ」に該当する可能性があります

 

なお、夫婦どちらの実子でもない場合であっても、

養子縁組をしていて、かつ、“6歳未満”であれば、「定住者」ビザの対象となってきます。

 

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法務省告示第132号/平成2年5月24日、法務省告示第357号/平成2772日改正

7号 

次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活するこれらの者の六歳未満の養子(第一号から第四号まで、前号又は次号に該当する者を除く。)に係るもの

イ 日本人

ロ 永住者の在留資格をもって在留する者

ハ 一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者

ニ 特別永住者

 

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個別のケースについては、ご相談ください。